「新修 国語漢和辞典」
「ことば」の魅力は無限大。
私の人生の原点。
読書の魅力というより、言葉の力を伝えたいと思いセレクトしました。小学生の私は、貸出冊数に制限がある図書室の本では飽き足らず、自宅にあったこの辞典を愛読していました。ある日、辞典の中で自分の名前である「千代」を見つけます。「千年、永久」とあり、その下には「eternity」という英語もカッコよく並んでいました。地味で古くさいと嫌っていた名前が急に誇らしく感じられ、辞典に一般名詞として掲載されている見出し語であることに驚くとともに、親への感謝が芽生えました。それ以来、自分の名前が大好きになり、確固たるアイデンティティとなりました。
スマホ世代のみなさん、ぜひ辞書を手にとってください。言葉の豊かさを知れば、自分の悩みや思いもより正確に伝えられるようになります。「やばい」「エモい」だけでなく、多彩な表現で自分を語れることは、あなたの大きな力に。「ことば」の魅力は無限大。語彙が増え、表現が豊かになれば、生き方が変わりますよ。
今回本を紹介
してくれた先生
国際日本学部 学部長
恩塚 千代教授
大学卒業後、一般企業への就職や英会話講師を経て日本語教師をめざしました。韓国の大学で14年間、日本語と日本文化、日本語教育を教えて帰国し、2022年より大手前大学に着任。現在、国の研究助成を受けながら「日本語学習者のための日日辞典」の編集に取り組んでいます。
「涼宮ハルヒの憂鬱」
現在も続く文化の
出発点となった作品です。
本との出会いというより、一冊の本を起点とする社会現象によって私の人生を大きく変えてくれたのが『涼宮ハルヒの憂鬱』です。ライトノベルを原作とするメディアミックス展開の中で引き起こされた数々の社会現象は、現在でも「踊ってみた動画」や「聖地巡礼」として定着しています。大学院生時代、研究に行き詰まっていた私はこれらの社会現象を対象とした研究に取り組んだことで、自らの研究を進めることができ、研究者としての未来を歩むことができました。一方で、この作品は時代を越えた青春の普遍性を扱っていて、登場人物たちの姿からは「いま」を生きる自分たちの可能性やかけがえのなさに気づくことができます。18歳くらいになると自分の未来が見えてきて、自虐的になったり、皮肉っぽく世の中を見たりしてしまうかもしれません。そういう人たちにぜひ読んでもらいたい、すごく勇気をもらえる作品です!
今回本を紹介
してくれた先生
現代社会学部 学部長
谷村 要教授
専門は情報社会学、ポップカルチャー研究、ファン文化研究です。研究対象は、様々なメディア利用者、特にファンの行動と文化。具体的には、ネットユーザーによる表現活動(「〇〇してみた」動画)や"聖地巡礼"行動における社会的相互行為に着目した研究を進めています。
「めぞん一刻」
どんな人にだって
素敵な出会いは必ずあります。
18歳の頃は、王道の少年漫画誌よりも、おじさんが読むような青年漫画誌の方が好きでした。なかでも高橋留美子さんの『めぞん一刻』は、私の考え方を変えてくれた作品です。亡き夫の惣一郎のことを心に深く刻んでいる未亡人・響子を好きになってしまった主人公の裕作。彼が、響子の惣一郎への想いもすべて含めてずっと響子を愛していくことを誓ったラストシーンで号泣しました。誰かを愛するということは、その人の過去や傷も含めて大事に思えることなんだなと。主人公の裕作は世間から見ればパッとしない冴えない大学生ですが、それでも人を愛する優しい心があれば、こんな素敵な出会いに恵まれます。響子のように癒えない過去の記憶があっても、自分を愛してくれる誰かが必ずいます。また、そんな2人を温かく見守ってくれる人々もきっと現れます。今は悩みや苦しみがあっても、希望を持って毎日を生きて欲しいです。
今回本を紹介
してくれた先生
経営学部
坂本 理郎教授
経営学部教授。1970年大阪市生まれ。「キャリアの心理学」「キャリアカウンセリング」などを担当。もともとは大学で心理学を専攻、大学院で経営学を学ぶ。趣味は鉄旅。 デパート販売員やキャリアカウンセラー、経営コンサルタントなどの職業経験がある。
