INTERVIEW

在日外国人や訪日外国人の増加がつづく日本。医療の最前線においても国籍、言語、文化や宗教といった国際的な視点を持つ看護師のニーズが急速に高まりつつあります。

ひとりの人として多様性と向き合い共に生きる看護師を目指す。

看護師/助産師 岩崎千歳さん

大阪医科大学看護専門学校を卒業後、看護師の道へ。その後助産師免許の取得、産科病院での勤務などを経て、JICA青年海外協力隊としてモロッコでの勤務を2年間経験。帰国後は国際経験を生かしながら看護の分野でさらなる活躍を目指すため、大学に在学中。

2020年には訪日外国人が
4000万人を超える。

観光庁によると訪日外国人のうち滞在中に予期せぬ病気や怪我に見舞われる割合は約4%。日本政府が2020年の目標として掲げる4000万人が達成されたとするなら160万人に上り、観光ではなく仕事や結婚などでもともと日本で暮らしている外国人を含めるとその数はもっと多くなるだろう。
そこで今、インフラ面での整備とともに課題のひとつとなっているのが、外国人への医療体制の強化だ。キーワードとなるのは「国際看護」。言葉だけを捉えると、日本で培った看護技術を持って発展途上国の医療に貢献したり、そのノウハウを世界へ広めていくような姿をイメージするが、実はそれだけではない。国際的な視点を持って、自国にやってくる外国人に看護を提供することも「国際看護」の重要な役割。今後ますます外国人観光客が増えていく日本において、必要となってくる分野であることは間違いがないだろう。

訪日外客数の推移と日本政府による2020年の目標数

JICAへの参加は世界の医療を、
看護を知りたかったから。

看護師、助産師である岩崎千歳さんは、自ら海外へ赴くことで、国際看護の視点を手に入れたひとりだ。転機を迎えるのは、助産師として働いた20代後半の頃。何の不満もなく働いていたある日に受けたナースコールが心境に大きな変化をもたらしたという。
「すごく忙しいときにケーキを食べたいからスプーンを持ってきてと言われて。今考えるとそれくらい快く引き受ければよかったのですが、当時は『これまで何のために看護を学んできたのだろう?』という感情が膨らんでしまったんです」
そこでJICA 青年海外協力隊の派遣事業に参加することを決める。行き先は、北アフリカに位置するモロッコだった。
「自分の看護技術を通して国際協力したいというよりは、世界の医療や出産現場を私自身が学んでみたいという気持ちの方が大きかったですね」

言葉よりも大切なのは
分かりあおうとする気持ち。

文化や習慣が違えば、病気に対する考え方も違ってくると岩崎さんは語る。
「たとえば、イスラム教徒の中には、病気は神様から与えられたものという考え方をする方がいらっしゃいます。私が担当したのは糖尿病の患者さんだったのですが、一日に何杯も大量の砂糖を入れたハーブティーを飲む。それさえやめれば随分改善するはずなのに、病気は神様次第だからと聞き入れてもらえず……。前提が全く異なると、どれだけ丁寧に説明してもダメなんだということを身を持って知りました」

「国の壁を越えて働くには『違って当たり前』という意識を持つこと、そして伝えようという努力を怠らないこと」と岩崎さん。

また、そんな「捉え方の違い」と同じように大きいのが言葉の壁だ。医療の現場では疾患名などに専門的な用語が多く、伝達ミスが重大な事故につながることにもなりかねない。このことについて岩崎さんは「もちろん間違って伝えるのは良くないのですが」という前置きのものと、こんな思いを語ってくれた。
「やっぱり大事なのは根気……(笑)かな。英語が上手なひとが使う医療英語が万能かというとそうでもなくて、逆に英語圏外の患者さんには全く通じなかったりする。それよりもなんとか伝えあおうという気持ちがお互いにあれば、意思疎通はちゃんとできるし、仲も良くなれると思うんです」
また、モロッコでは極端に看護師の数が少ないという状況の中、日本で当然のようにしていたことがとても感謝されたという。
「何気ないときに大丈夫?って声をかけたり、体に手を添えて話を聞いたり。そうした思いやりの気持ちを持って看護に当たるというのは海外では珍しいようで、とても喜ばれました」

日本の医療現場において多様性に対応した
看護は必須のスキルに。

訪日外国人の爆発的な増加によって、『日本で看護をするのは日本人にだけ』という考えは捨てなければいけない時代がすぐそこに迫っている。同時に、日本国民の3人に1人が高齢者となる『2025年問題』も深刻だ。労働人口減少を解決するために労働力を外国人に頼ることも真剣に検討されはじめている。つまり外国人スタッフとともに看護に当たる日がやってくることを見据えても、国際的な視点がこれまで以上に重要になってきていると言えるのだ。

モロッコで活動していた頃の岩崎さんの写真が、JICAのポスターに。傍で見つめる女性は当時お世話になった大家さん。

こうした流れの中、大手前大学では『国際看護学部』が2019年からスタートすることになった。言葉のみならず、文化、風習、宗教など、あらゆる壁を超えられる国際感覚を持った看護師を育成することが目的だ。最後に、岩崎さんは語る。
「今後、国際看護は特定のひとが持つ専門スキルではなく、すべての看護師にとって当たり前になっていかなければいけません。10代という若いうちからそれを学べるのはとても幸運だと思いますね」

2019年4月大手前大学は多様性に向き合う「国際看護学部(仮称)」をつくります(設置構想中)

進化する大手前大学 2019年4月「国際看護学部(仮称)」設置構想中

これからの日本の看護を担う「国際看護」において、欠かすことのできない多様性への理解。実績ある講師陣による看護教育と大手前大学の誇るリベラルアーツおよび実践英語教育によって、地球市民として活躍できるグローバル人材を育てます。

学びの特色

  • 理系・文系を問わず基礎から学べるカリキュラム
  • 看護師に特化した体系的なカリキュラムにより培う確かな看護実践力
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