「多様性」って何だろう?

“医療現場における多様性への理解”とは

現代の日本には日本語を母語としない定住外国人や訪日外国人など多様な人々が暮らしています。
そうした方々が日本の医療を必要とした場合、単に英語が使えるというだけでなく、どうしたら目の前の対象者に寄り添えるのか、葛藤に共感できるのか、を想像し、相手の気持ちを受けとめながら対応する必要があります。
対象者の置かれている環境や立場、その社会的背景や独自の文化を含めて相手を尊重し、そのうえでの医療サービスが必要とされています。

さまざまなケースから学ぶ医療現場の多様性。グローバル化がすすむ国内の医療現場で知っておきたい、言葉の違いや生活習慣の違い。

Episode1

大家族主義のフィリピン

フィリピンでは大家族主義の文化を尊重するため、親戚一同を含む拡大家族のつながりをとても大事にします。毎週末の日曜日は祖父母宅に子ども達夫婦や孫たちが集まり、サンデーランチを楽しみながら、家族で過ごす時間を大切にします。子育てはもちろんのこと、病気の時も家族全員で助け合います。そのため、多くの病院には家族も一緒に泊まれる環境があります。こうした文化の違いを理解しておくことで、面会時間外にも大勢の家族が見舞いに来るなど日本では見慣れない場面に遭遇しても、誤った解釈をせずに対象者の思いを尊重して対応することができます。

Episode2

死産でも泣かない母親たち

アフリカのある部族では、子どもが死産でも母親は泣きません。これをみて、「アフリカでは子どもが大勢死ぬから、母親は死ぬことに慣れている」という人がいます。しかし、泣かない理由は、「母親が泣くと、悪魔がそれをみて、次の子どもも連れて行く」という迷信を信じているからです。その迷信には、過酷な生活環境で出産する場合、産後の母親が嘆き悲しむことで免疫が低下しないように、母親を護る意味が込められています。
地球上では多様な人々が暮らし、人の営み全てに多様な考え方や生活様式があります。看護師自身の狭い価値観のみで見ると、まったく違う捉え方になりますが、広い教養を身につけることで、このような対象者の反応や行動を理解できるようになります。

Episode3

国によって異なるサインの意味

日本ではお馴染みの親指と人さし指で輪っかを作るOKサインは多くの国であまりいい意味を持たないハンドサインとされています。フランスやギリシャでは「侮辱」、ブラジルでは「おれは危険だぞ」という意味に。ほかにピースサインもギリシャでは侮辱と捉えられることも。中指を立てるブーイングサインはもちろん、小指だけを立てると中国では「役立たず」や「出来損ない」という侮辱の意味になってしまうので、対象者に対し何気なく使ってしまいそうなサインですが、治療にあたる際はもちろん、待合室や受付でも対象者に何かジェスチャーをする場面では注意が必要です。

国際看護学部で学んだ後、活躍できる場

プロとして必要な医学・看護学の知識や技術に加え、諸外国の文化や言葉を理解し、コミュニケーション能力や多様性への適応力と受容性を身につけたグローバル人材としての看護師は、今後より一層国際社会として変容する日本においても必要とされます。当学部でリベラルアーツを基礎とした国際的な視野と看護学を学んだ学生は将来、病院や診療所等の医療機関のほか、さまざまな専門分野での活躍が期待されます。

国際看護学部の未来予想図

病院・診療所等の医療機関

現時点では、病院や診療所等の医療機関を利用する外国人の多くが不便さを感じています。どんな人にも確かな医療・看護を届けるための人材確保が急務になっています。

外国人患者の受け入れ機関として
認定された医療機関(JMIP認証制度認定)

国に認められている外国人患者受け入れ医療機関は、平成29年度時点でまだ41施設。厚生労働省は、2020年までには100箇所の整備をめざしており、そこで働く人材が求められています。

空港検疫所などの検疫官(看護師)

海外からの入国者・帰国者が体調不良を訴えた場合に対処します。珍しい症状も多く、国内への病気の侵入を防ぐため、的確な診断と迅速な初期対応を行う重要な任務です。

訪問看護ステーション・在宅サービス
事務所・高齢者向け施設等

日本の介護・看護サービスを受ける外国人高齢者はますます多くなっていきます。定住外国人は日本語が不十分な場合があり、日本語以外でもコミュニケーションの図れる人材が求められています。

民間企業(産業看護師)

高齢化・少子化の日本では、外国人労働者の受け入れがさらに増えると考えられます。企業の雇用責任として従業員の健康管理は重要であり、リベラルアーツと国際感覚を学んだ看護師が必要となっていきます。