面白いオトナは 伝えられる

健康栄養学部 管理栄養学科
吉澤 みな子先生

ダイエットに芸能人、消費税アップ…身の回りのことが、栄養学につながっている。

新入生や講演に来てくださる一般の方々を見ていると、最初から「栄養のことを知りたい!」と思っている人はあまりいません(笑)。皆さん興味があるのは、流行りのダイエットや芸能人・著名人の病気、高齢社会になるとなぜ消費税がアップするのかなど自分の身の回りのこと。でもそれを入り口にして「栄養学ではこんな研究結果がある」とか「消費税アップは医療費増大が原因だから、病気予防するしかない。病気予防の一番の担い手は管理栄養士なんだ」ということを伝えると、すごく関心を持ってもらえる。「治療に向けてがんばれそう」「家族にも話してみる」という感想をもらえた時は嬉しいですね。

人に伝えるためのチカラをつける。チカラがつくと、活躍の場も広がる。

人に伝えるって、すごく難しい。伝えたいことを本当に理解していないとできないし、先ほどの例のように“入り口”になる話題も持っておかないといけない。大手前大学はまさにそういう学びができる場所です。Myカリキュラムスタイルで浅く広く知識を仕入れて、自分の中に引き出しをたくさん作る。そして専門科目やゼミでの研究で栄養学を深く理解する。最近の管理栄養士は、病院や施設で働くのではなくフリーランスという選択肢も出てきました。在宅療養者のための料理教室を開く人、アスリート専属で海外遠征にも行く人、講演活動や執筆活動をする人。そんなふうに自分の活躍の場を広げるためには、ただ資格を取るだけでは不十分。イラストを学んでツール作りを上達させたり、心理学を学んで患者さんの考えを読み取ったり、Myカリキュラムスタイルをフル活用して、自分の特色を創りだしてください。

先生になろうとは決めたのは大学で出会った人たちの何気ない言葉がきっかけ。

今こそこうして人に伝える、教える立場ですが、実は大学生の頃は人前で話すのが苦手で、研究者になりたかったんです。就職活動もメーカーの研究職ばかり受けていたけれど、うまくいかなかった。悩んでいたら、研究室の助教授が「メーカー向いてないよ。学校があってるよ」って、一言。普段は自分の我を通すほうなのに、なぜかその言葉に従って卒業後は大学の助手になりました。ある日、実験準備の合間に学生からの質問に答えていると「先生の説明のほうが分かりやすい」と言われて。へぇ、と思って、そこから教える側へ進み始めました。大学ではいろんな人と出会うので、将来をつかむきっかけも誰かの言葉にあるかもしれません。皆さんもこれからの出会いに期待して、自分の中で何か引っ掛かりのあった言葉は、大切にしてみてください。