設計コンセプト

大手前大学メディアライブライリーCELLは、大手前学園創立60周年記念事業の一環として計画され、2007年6月28日竣工、9月20日グランドオープンしました。

CELLとは、Communication、E-Learning、Libraryの頭文字であり、「細胞」の意味を持っています。

大手前大学は2007年、学部学科の枠を超えて学生一人ひとりが自分だけの学びを実現できる「ユニット自由選択制」を、日本の四年制大学ではじめて導入しました。

このCELLにおいても、単に図書の集積・閲覧機能にとどまることなく、緻密な少人数教育の場となる小教室、情報発信の拠点となるコンテンツセンター、さまざまな「知」の交流の場となるフォーラムなど多面的な設備・機能を配置。学生、研究者、地域の方々をはじめとする利用者が、真に自らの学びを追究し、新たな集合知を生み出す場として設計しました。その主な特長は次の通りです。

20万冊以上の蔵書はすべて開架

1階と地階を合わせて20万冊を越える蔵書を持つ図書室はすべて「開架」とし、自由な閲覧を可能にしました。館内の回遊性にも優れ、閲覧テーブルを各所に配するなど、新たな「知」との出会いを促すとことを意図しています。

1階周緑に複数の「小教室」を配置

CELLの最大の特長が、まさに細胞のように並ぶ小教室。One to one の緻密な少人数教育、各種のレクチャーやグループワークなどへ活用のほか、フォーラム(大部屋)などと合わせ「集団教育⇔個別研究」の連携といった、柔軟な教育研究のスタイルを構想しています。場所・時間・ツール・コンテンツなどを「自由に選ぶ」ことができ、自分流の使い方を見つけ出すことができます。

屋内外2つのリバーシブルな扉

小教室は、屋内側と屋外側2つの扉を持つリバーシブルな設計。利用方法に合わせた自由な出入りを可能にしました。屋外の扉は"外部にひらかれた施設"の具現化でもあり、学生のみならず、多くの研究者や地域の方々の活用を意図しています。

自然なコミュニケーションを促す「透ける外観」

ガラス越しに透ける外観が、ここに集う人たちのアイコンタクト、自然なコミュニケーションを促すとともに、「見る・見られる」刺激が新たな気づきや発見につながります。
また、外に向かって触手を伸ばしつながっていくかのようなかたちは、ユニバーサルアクセス時代にふさわしいキャンパス環境のあり方を示しています。

さくら夙川キャンパスのハブ

緑をまとう水平な建物は、さくら夙川キャンパスの中央に位置し、キャンパスの一体感を高めています。
黒田アキ氏とのコラボレーションによる屋上のルーフガーデンは、さながら"持ち上げられた中庭"であり、利用者の憩いの場となることを意図してアメニティ豊かな設計としています。

このようにメディアライブライリーCELLは、教育・研究の場として、きわめて柔軟で多面的な機能を備えています。
大手前大学では、このCELLが持つ可能性を最大限に生かし、小集団教育メソッドの新たなスタンダードをめざす「CELL教育」など高等教育の新たなスタイルを追究していきます。
また、本学内の施設であることを越えて、今後は学外の方々にも広く活用いただき、地域への貢献、地域との共生の核となる施設として供用すべく計画を進めてまいります。