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【5月12日 看護の日】教員陣からのエッセー

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5月12日は「看護の日」です。

近代看護を築いたフローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ、国際看護師協会(ICN) が1965年から5月12日を「国際看護師の日」と定めており、日本国内では厚生省(現厚生労働省)が1990年に「看護の日」と制定しています。

大手前大学国際看護学部では、国内外の臨床現場を経験した教員たちが在籍しています。本日「看護の日」に、3名の教員からエッセーが寄せられておりますので、ご紹介させていただきます。



【あの子には5をあげてくれ】(木野寛子講師)

これは、私が看護学生の時に受け持った患者さんが教員に言った言葉です。受け持ちを承諾した後にやっぱり断ろうと思ったことも聞きました。私は特別なケアをした訳はありません。病棟のスタッフのような動きをしていたわけでもありません。ただ側にいて、話を聴いていただけでした。だから、「5をあげてくれ」の理由は今でもわかりません。でも、側にいて話を聴く事、つまり、寄り添うことが誰かの力になるかもしれないと思うようになりました。

実は「寄り添う」ことは難しいです。出来ているか自信はありません。でも、看護を必要としている人に寄り添い、共に考え、力になる人になれればと思います。

教員紹介|木野寛子講師



【患者さんへの思いが看護師の勇気を湧き起こす】(土谷僚太郎助教)

「おまえにはこの痛みわからんやろ!!」

朝8時、日勤の仕事の準備をしている私の耳に飛び込んできた強烈な一言。

患者さんは、手術の痛みで夜中から痛み止めを何度も内服していた。使う事が許可されている薬は、次の内服まで6時間空けなければならない。夜勤の看護師はその事を伝え、患者さんと押し問答していた。

私たち看護師は患者さんにはなれない。この時いつも「患者さんの痛みをわかりたい。痛みをとってあげたい。悔しい。」と思う。よく「患者さんの立場になって考える」と言われるが、それだけでは不十分。患者さんの気持ちや痛みや苦しみをわかろうとする意識的な努力が、私たちの心を揺り動かし一歩を踏み出させる。勇気を湧き起こす。「私はあなたの痛みをわかりたい」。まずそう伝えよう。

教員紹介|土谷僚太郎助教



【隠された母の思い】(中口尚始助教)


私が小児病棟で勤務していた頃に出会った、入退院を繰り返すAちゃんとそのお母さんのことを今でも思い出す。

私が新人の頃は、親しくしていた二人からずいぶんと励まされていた。少しずつ仕事にも慣れてきたある日、Aちゃんを検査に送り出した後、病室に戻るとお母さんが涙を流して肩をふるわせていた。何度も入退院を経験し、明るく気丈に見えていたお母さんだったが、実は誰にも不安を相談できず隠れて一人で泣いていた。

病気を抱え、治療をする限り、患者やその家族は常に不安が付きまとい、慣れることは無い。お母さんの表面的な明るさだけを見て、本当の気持ちに心を寄せられていなかった。その日以来,患者と家族の心に寄り添うことの意味を考えながら看護と向き合っている。

教員紹介|中口尚始助教




(配信元:アドミッションズ オフィス)


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