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【メディアライブラリーCELL】第8回トークライブinCELL「教師教育研究の最前線 いじめ・体罰によらない教育とは」が開催されました。

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2013年11月29日(金)に第8回トークライブが開催されました。今回は総合文化学部石上浩美先生のお話をうかがいました。
タイトルは「教師教育研究の最前線 ―いじめ・体罰によらない指導とは―」です。
今回のトークライブは、先生による「講演」と参加者を交えた「フリートーク」の二部構成という初めての試みとなりました。教員養成を主軸とした研究や活動をされている石上先生ならではの視点から、「いじめ」や「体罰」についてお話しいただきました。
トークライブin CELL 第8回第8回トークライブinCELL「教師教育研究の最前線 いじめ・体罰によらない教育とは」の様子
トークライブin CELL 第8回第8回トークライブinCELL「教師教育研究の最前線 いじめ・体罰によらない教育とは」の様子

「いじめ」はどのようなところから生まれるのか。心のなかで人を低位に見ようとする潜在的な「心理的差別」。それは誰もが持っている無意識の感情で、いじめの遠因のひとつとされているそうです。「いじめ」は現象ではなく非常に心理的なものだ、ということを「いじめ問題」研究の第一人者・森田洋司氏による「いじめの四者構造」という図を用いてわかりやすく解説して下さいました。
「いじめ」には「被害者」と「加害者」だけでなく、「観衆」という同調・追従者や「傍観者」という見て見ぬふりをする複数の目が存在するという図式です。この四者の関係性はとても危うく、いとも簡単にその立場が逆転する可能性を秘めています。集団のなかのこうした流動的な交代劇が子どもたちの心理に大きな影を落とし、「いじめ」は続いて行ってしまう、ということです。ネット上の匿名性の「いじめ」などその形がさらに多様化する昨今、子どもを取りまく大人たちはしっかりと目を凝らして迅速な対応を心掛けねばなりません。
また、指導上の問題として、有形力の行使(指導)の枠を超える「体罰」も大きな問題です。その根底にあるのは、“子どもの人権を軽く扱いすぎること”だと石上先生は言います。人が安心・安全に生活できること、この当たり前の権利を侵害する行為は誰にもあってはならない。指導上認められている「懲戒」と「体罰」は異なる次元の行為であることを、教師は常に意識し、コントロールしてゆく必要があるのです。

教員は日々の実践からこうした問題と常に向き合って行かなければならない。自身が「いじめ」を容認・加担するような発言や指導、立場をとっていないか、「有形的の行使」の枠を逸脱していないか、つねに自分の立場を省察し、軌道修正・改善努力を行う責任があります。教員養成を主眼にこれらの問題を考えるとき、教員が自分の内面をより高次に捉え自問自答を繰り返す努力(=「メタ認知」)を支援するシステムや学びの場を増やしてゆく必要性がある、と石上先生は言います。「事後処理」よりも「予防」や「軽減」を目指すための実践に結び付いた教員支援が今後の課題となるだろう、とのことでした。

トークライブin CELL 第8回第8回トークライブinCELL「教師教育研究の最前線 いじめ・体罰によらない教育とは」の様子トークライブin CELL 第8回第8回トークライブinCELL「教師教育研究の最前線 いじめ・体罰によらない教育とは」の様子


今回のトークライブには、実際に教育者を目指して教職課程を履修する学生の方々が多く参加して下さいました。フリートークでは、「いじめの四者構造」を参考に参加者それぞれが自分の実体験を語らい、石上先生を中心に「いじめ」や「体罰」が及ぼす影響や問題点を共に考える機会を得ることができました。極私的な体験談や様々な質疑が飛び交うデリケートな場となりましたが、とても貴重な経験となったのではないでしょうか。

明快な答えの出ない難しいテーマですが、目を逸らさず真摯に取組むこと、そのための課題や支援の在り方など、第一線で活躍される石上先生だからこその貴重なお話をたくさんうかがうことができました。

トークライブin CELL 第8回「教師教育研究の最前線 いじめ・体罰によらない教育とは」の収録ムービーは2013年12月10日(火)よりYouTube「大手前チャンネル」で配信予定です。



 
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