PICK UP SEMINAR

深い専門性を身につけられる多彩な科目の学び。

「歴史」「文化」「言語」を国際的な視点で学ぶ、国際日本学部の研究を実践する場が各ゼミナール。
その研究内容の一部をピックアップします。

まちづくり・コミュニティに
活かす「歴史・文化・言語」

身近な地域社会から、日本、世界へと広がるフィールドで幅広く研究を展開しています。地域の歴史研究、世界と日本の国際比較、英語コミュニケーションから、多文化共生時代を生き抜く智恵を吸収します。

─ 歴史×まちづくり・コミュニティ

自らの力で歴史認識を
アップデートする経験。

尾崎 耕司 教授研究テーマ : 日本近代史

私たちが暮らす町。その成り立ちには必ず歴史的背景があります。例えば、明治22年に敷かれた大阪市制は、当時流行したコレラ対策として上水道をシェアする必要のあった地域が統一された経緯があります。ゼミの研究領域は日本近代史。テーマ設定は自由ですが、代表的な研究テーマに「興味ある町の地域史」があります。年表の作成によって地域の歴史をひも解くと、人々のライフスタイルが変わる転換点が必ず見えてきます。すると、その転換点によって「今」がつくられていることも浮き彫りになってくるのです。これが教科書などで与えられた歴史ではなく、自らの力で歴史認識をアップデートする経験であり、まさに過去と現在の対話。身近な町の課題発見と解決の道が、歴史にあることが実感できます。

─ 文化×まちづくり・コミュニティ

ネットを舞台に世界を
またにかける。

坂本 真司 准教授研究テーマ : 社会学/国際関係学/途上国開発論/農村社会論

おもに開発途上国を対象に、関心ある地域を選んでその地域における社会問題を調査。ネットを舞台に擬似的に世界をまたにかけ、いつ、どこで、どんな問題が起きているのかをジャーナリスティックに調べます。SNS上の書き込みにも注意を払って情報のアーカイブを形成し、その結果を国際関係学、国際社会学の理論を引用しながら分析します。大切にしているのは、調査結果を用いた日本と諸外国との国際比較。我々の暮らしに活かすべく、考察結果を広く発信する力を養っていきます。例えば、北欧を中心に広がりを見せる父親の育休割当「パパ・クオータ制度」を調べる学生も。日本を“父親の育休途上国”と見立て、ネットでの現地調査を通じて日本で男性の育児参加を促していくための方法を検討しています。

─ 言語×まちづくり・コミュニティ

英語でのコミュニケーション

研究活動に取り組む。

ゴードン カールソン 准教授研究テーマ : 自立と集団の学習

英語でのコミュニケーション、リサーチ、ライティングに加え、興味ある分野の研究活動に取り組むことで、実践的な英語力の向上を図ります。研究テーマは、例えば日本のマイノリティの歴史、英語教育、留学生問題、国際結婚などといった多様なトピックスから各自関心を持った分野を深め、英語での卒業論文作成につなげます。学外に出向くコミュニティ・サービスも実践しており、地域の子供たちを対象とする英語イベントや清掃活動などに従事するリーダーシップキャンプのほか、乳児院での奉仕活動では人間的な成長を遂げる契機にもなっています。卒業後は身につけた実践的な英語力をもとに、各自の才能や個性が輝き、また多文化共生社会に役立つ人材として広く活躍します。

─ 地理学×まちづくり・コミュニティ

地理学という方法論を通して、
社会を生き抜く力を養う。

貝柄 徹 教授研究テーマ :自然地理学

地理学は、暗記ではなく、単純に答えの出ない様々な問題について考える学問。だからこそ研究テーマに対して自由な発想で向き合い、多方面から一つの事象を考察することで、自分なりの提案を見いだしていく楽しさがあります。これは同時に社会で求められる力。地理学は社会を生き抜く力を養う学問でもあります。研究対象は幅広く、学生たちはまちづくり、地域再生、防災、観光資源、地形、湧水など、多岐にわたる調査・研究に取り組んでいます。「地域をみる」という考えのもと、文献研究に加えて現地調査も必須。実際にゼミでは、授業で野外調査の方法・実践を学んだ後、学生の自主企画による全国各地での巡検(フィールドワーク)も盛んに行われています。卒業生は学んだことを活かして行政、教員など公務員のほか、ハザードマップや海外での都市計画地図作成などの一般企業をはじめとする諸分野で活躍しています。

国際的な視点で学ぶ
「歴史・文化・言語」

同じ東アジア地域にある中国の歴史、現代韓国社会のあり方、そして世界からみた日本と日本語の実相を学ぶことで見えてくるのは次代の日本が向かうべき道筋とこれからの日本と世界とのかかわり方です。

─ 歴史×国際的視点

東洋の歴史を通して、
改めて日本を見つめ直す。

山口 正晃 教授研究テーマ : 敦煌写本の研究/中国中世の制度史研究

広く東洋を舞台に、中国など関心ある国・地域の歴史を研究します。学生の自主性を重んじており、国・地域、年代、分野など研究テーマの設定は自由。文献研究やゼミ生同士の情報共有などを通じて、テーマを絞り込んでいきます。研究対象となる国・地域の歴史だけではなく、日本も東洋の一部であるという認識のもと、例えば中国史を研究することで、中国という国がいかに日本文化の形成にかかわってきたのかを理解。東洋史を通して改めて日本を見つめ直す手がかりとします。『三国志』や『西遊記』など、中国あるいは広くアジアの歴史を題材にした小説・漫画・アニメ・ゲームやドラマ・映画などが大好きという動機も大歓迎。私自身も中学生時代に読んだ漫画『三国志』が研究者としての原点です。

─ 文化×国際的視点

韓国の大衆文化が世界で
人気を博す理由とは?

チャン ギグォン 教授研究テーマ : 韓国社会文化/大衆文化/伝統芸能/韓国語教育

KTX(韓国高速鉄道)には改札も検札もないって、知っていますか? 隣国でありK-popなど普段から韓国文化に接している私たちは、韓国を身近な存在と思い込んでいます。しかし研究を通じて見えてくるのは、日本人があまり認識していない韓国社会のダイナミズムです。KTXの事例は若手職員による提案が迅速に実現した改革の一例。日本の組織では簡単にはいきません。韓国では「ヒョクシン(革新)」という言葉が日常語として使われており、企業人も学生も改革の気概に満ちています。韓国の大衆文化がなぜ世界で人気なのか、そこにはまさにヒョクシンの発想とグローバルな経営戦略があります。そのほか様々な分野において、韓国は日本にはない発想の宝庫。韓国という窓を通して、日本の課題解決のヒントを探ることができます。

─ 言語×国際的視点

日本語を外国人の視点で
捉えてみる。

石井 誠 教授研究テーマ : 言語学/日本語教育学/異文化理解

静かさを表現するのに、なぜ「シ~ン」という“音”がする? 「ズキズキ」「ひりひり」ってどんな痛み? これらは外国人が日本語を学ぶ上で抱くよくある疑問です。外国人の視点を借りると、私たちが当たり前に使っている日本語のおもしろさが鮮明になってきます。ゼミでは、日本語を母語としない人への日本語教育法や日本語学を研究。国際視点で日本語を学ぶことで、日本語表現の特性やその背景となる文化について理解を深めます。今、かつてなく日本語学習者が増え、日本語教員のニーズも高まっています。定住外国人だけではなく、外国人旅行者、ひいては日本人に対してわかりやすい日本語を発信できる人材は、暮らしやすい社会づくりに大きく貢献することになります。

─ 文学×国際的視点

地域や時代を超えて
異なる価値観に触れる。

大島 浩英 教授研究テーマ :初期新高地ドイツ語/民衆本/風刺詩集

ドイツ語圏をはじめとする欧州の文学を中心に研究できるゼミです。自由度の高さが特色で、文学を入口にして様々な領域に進展。例えば、グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」などに登場する魔女に注目し、中世の欧州で実際に行われていた魔女狩りの社会的背景に迫ったり、「灰かぶり」に描かれる(現代とは違った)屈強なシンデレラを通じて当時理想とされていた女性像を考察したり、さらには日本の昔話との比較研究を通じてキリスト教文化圏との宗教観の違いを議論するなど、単なる作品研究にとどまらない研究が展開されています。地域や時代を超えて異なる価値観、文化に触れる手がかりとなるのが文学。固定観念をくつがえし、異文化を受け入れる柔軟性を築くことで、グローバル社会を生き抜く素養を培っていきます。

─ 考古学×国際的視点

国際交流の歴史から
日本という国を捉え直す。

森下 章司 教授研究テーマ : 考古学/古墳/銅鏡

史料から歴史をひも解く文献史学に対して、遺跡などの物証から歴史の真実に迫るのが考古学。古墳、古代の中心地である関西の立地を活かして“本物”から学ぶことができるよう、各地の遺跡や博物館などを訪れるとともに、事前事後の学修を組み合わせて理解を深めています。研究テーマの設定は自由。地域は自らの地元から海外まで、古代から近代まで、興味に応じて研究できます。とりわけ日本の古代研究では、東アジアとの交流という観点を重視。当時の国際交流のあり方を考察することで、日本という国がいかに形成されていったのかを探ることも本ゼミのテーマです。また、史学研究所に備えられた日本屈指の3次元レーザー計測装置や3Dプリンターといった備えられた最新の文化財情報機器システムに接することができるのも、本学で学ぶ大きな利点です。