2週間の国際助産演習でラオスを訪れました。1週目は首都のビエンチャンにあるラオス保健科学大学とマホソット病院での演習、2週目は北部の地方都市ルアンパバーンにあるラオ・フレンズ小児病院のアウトリーチ活動へ参加しました。都市部の病院の産科病棟・産科外来では、妊婦健診・分娩介助・家族計画・乳児健診を見学し、その中で健康教育の一部を実施しました。地方の村では、健康教育・乳幼児健診を実施しました。また、僻地の自宅への訪問看護に同伴し、家族との関わりやケアを見学しました。印象に残っているのは、実習先の訪問看護師の方からいただいた「思い込みは禁物。端的に考えないことがとても大切」というアドバイスです。この言葉と現地での経験を通じて、健康問題には様々な要因が複雑に絡み合っていることを理解できるようになりました。演習を通じて特に成長を感じたのは、日本とは異なる文化や価値観を持つラオスの人々と関わる中で育まれた“相手を理解しようとする姿勢”と“自分の意見を伝える姿勢”です。加えて、物事を多角的に捉える視点も、より深く意識するようになりました。
私が大手前大学大学院国際看護研究科へ進学を決めたのは、多様性を受容する力や、チームで協働する力を養えるカリキュラムが整っており、学生一人ひとりの個性を尊重しながら、より良い看護職となれるよう教授陣が温かくサポートしてくださる環境に魅力を感じたからです。実際に学びながら実感していますが、教授との距離が近いことは本研究科の大きな魅力です。学生の声に耳を傾け、理解できるまで丁寧にご指導いただけます。実習や研究、国家試験など、さまざまなことを相談できる安心感があります。
私は将来、携わらせていただく妊産褥婦の方々や患者さんが大切にしていることを尊重し、その方たちやご家族にとって、最適な医療やケアを提供できる看護職をめざしています。特に周産期の現場では、母と子ども、その家族が満足できる妊娠・出産・育児ができるよう支援したいと考えています。そのために今、自分で考えて行動する力と、協働する力の両方を高めたいと考えています。自らの意見を持ち、それをチームで共有することは、助産師として妊産褥婦の方々と子ども、そのご家族に満足いただける関わりにつながると感じています。
大学院進学は、知識を深め、自分自身と向き合う貴重な機会です。正直に言えば、決して楽な道ではありません。悩んだり、迷ったりすることもあります。でも、その一歩を踏み出して初めて見える景色があると信じています。私自身、本研究科での学びを通して、自分が何を大切にしているのか、どんな助産師になりたいのかを、深く考えるようになりました。同じ志を持つ仲間との出会いも、大きな支えです。多くの経験と出会いを通じて、人として大きく成長できる環境であることは間違いありません。
加古川刑務所研修では、刑務官からの施設概要説明に始まり、施設見学、さらに刑務官・事務官・看護師との少人数制での意見交換が行われました。矯正施設の設立目的や役割、職員の職種や職務内容について学ぶとともに、成り立ちや歴史的背景を通して、受刑者の人権を尊重した矯正処遇が時代とともに改善されてきた経緯を理解を深めました。さらに、再犯防止や社会復帰に向けた具体的な取り組みについて現状を知ることができました。受刑者が従事する刑務作業の見学も貴重な経験でした。特に印象的だったのは、私自身も新型コロナウィルス感染症の時に使用していた個人用防護具が、刑務所内で製作されていたことです。この研修を通して、受刑者の社会復帰後の心身の健康までを考慮してどのように関わるか、看護職としての視点を得ることができました。
私は大学院進学前に、看護師として災害医療やミャンマーでの医療支援ボランティア活動に参加しました。その後、バングラデシュのダッカ管区において、総合病院の立ち上げプロジェクトに従事し、病院運営の基礎体制づくりや現地看護師の教育指導を行った経験があります。これらの経験を活かし、国際看護領域で人材育成や政策提言など、より高いレベルで社会貢献できる人材になりたいと考え、本大学院国際看護学研究科に進学しました。今後は自身が活動するだけでなく、国際看護の発展に寄与するために、国内外で活躍できる人材の育成にも携わっていきたいと考えています。
「国際看護学」を掲げる本研究科には、魅力的な教授がたくさん在籍されています。研究の基礎知識を習得するだけでなく、実際に国内外で活躍されている先生方から、活動の実際や研究内容について教えていただくことで、より具体的なイメージが深まり、自身の研究を将来の活動にどう活かすか考えることができます。国際社会における健康課題と解決策、国際社会における日本と看護職としての役割について学ぶことができます。課題を通して自身の意見をまとめ、講師や院生とディスカッションする機会が多く、大学院の学びの楽しみを感じています。日本の健康課題や解決策、政策提言についても学ぶことができ、視野が広がりました。学内外の研修や学会などの情報や参加の機会も多く、その機会を活用できれば、人脈形成にも繋がるはずです。加えて本研究科は、日本では唯一のJBIの研修施設であることも、国際看護学の研究を専攻した私にとっては非常に魅力的なポイントです。
本研究科の院生5名と先生方でラオスを訪れ、2週間の「国際助産演習」を行いました。演習の1週目は北部ルアンパバーンにあるラオ・フレンズ小児病院、2週目は首都ビエンチャンにあるラオス保健科学大学とマホソット病院で学びました。家庭訪問や病院でのケアなどを、現地の医療者やスタッフから、日本語や英語、ラオス語で指導を受けました。なかでも多くの気づきを得たのは、アクセスが困難な妊婦への健康教育や、現地看護学生と一緒に行った妊婦健診です。文化や慣習、伝統を守りながら日々を生きる対象者への看護において、自分の常識が相手の常識ではないことを深く理解できました。
最初は、日本とは違う環境や文化、生活習慣にとまどいを感じました。しかし、多様な文化に触れて生活するうちに、「何ごとも挑戦しよう」と積極的に行動する勇気を持つことができ、自身の成長を感じることができました。また、楽しみながら英語で会話ができ、プレゼンテーションにもチャレンジできました。海外演習では、私が住む日本での環境や文化、価値観など、すべてが“当たり前ではない”ことに改めて気づくことができました。本学の理念でもある多様性を尊重する国際看護を学ぶ上で、大切な視点を養う経験となりました。
今回の日本看護協会の施設見学は、「看護管理特論」の一環として、日本看護協会の運営とマネジメントを理解することを目的に実施されました。「令和6年能登半島地震」の少し後に実施されたこともあり、地震発生後、日本看護協会では各都道府県看護協会や厚生労働省とどのように連携して災害支援ナースを派遣したか、具体的な経緯を教わりました。また日本の看護の質を向上させるための様々な取り組みや、次世代育成のための広報活動についても学びました。施設見学を通して、日本最大の職能団体である日本看護協会の一員であることを再認識すると共に感じたのは心強さです。個人の力では解決できない看護の課題も、組織であれば解決できる可能性を感じ、視野が広がりました。
私は以前より、看護師(保健師)として経験を積んだ後、必ず国際看護学を学ぼうと決めていました。国際看護学が学べる本学の大学院新設を知って、迷わず進学しました。今、日本に住む外国人労働者の公衆衛生についての実態調査をしています。保健師として、正確なデータ収集とそのデータを明確に提示する力を身につけて、政策として地域の取り組みに還元したいと考えています。
姫路赤十字病院での実習では、分娩介助だけでなく産褥期も関わり、新生児の状態を毎日観察し、産婦と共に成長を見届けました。分娩の経過や機序、根拠を学んでから実習に臨みましたが、実際はそれらを踏まえて母子の状況を統合的にアセスメントし、どのような経過を辿っているのか判断することがとても難しく感じました。一人として同じお産はないからこそ、状況を見極め、適切に対処し、母子にとって安心、安全、満足に出産できるように関わることが大切であると実感しました。また分娩に至るまでの過程で、潜在的なリスクがないか、危険な状態ではないかを助産師が見極め、アセスメントをくり返すことが必要だと学びました。
チームの一員として分娩介助に関わりましたが、最初は思うように動けず、落ち込むこともありました。そんな時、陣痛に耐えて頑張る産婦を前に、自らを奮い立たせたことも。実習を通して精神的に強くなれました。ケアの方向性を一緒に考え、触診や聴診も「まずはやってみよう」とサポートしてくださった指導担当の方のおかげで、成長できました。
実習では、病院だけでなく助産院やクリニックでの分娩や妊婦健診を経験できます。学生の頃から様々な医療体制の中で行われている助産ケアを学べるところは、本研究科の魅力だと思います。
加古川刑務所の見学では、受刑者の生活環境と更生プログラムについて、男性・女性別に見学しました。受刑中の妊産婦への関わりや、産後に母児が一緒に生活できる部屋の見学、受刑者の健康管理についての説明を受けました。普段から受刑者と関わりが多い職員との情報共有や連携が、異常の早期発見と健康管理に大切であると学びました。また受刑者には、成育環境によりサポートが必要な時期に、保護者などからのサポートが受けられなかったケースが多いことも知りました。受刑者も同じ地域住民であると捉えられるようになったことは、実習の前と後で考え方が変化した点です。
公衆衛生看護においては、地域・行政・医療が、地域で取り残される人がいないように連携することが大切です。発達段階に応じた支援、妊娠期から孤立しない支援が犯罪を防ぐとともに、受刑者の社会復帰支援において重要であると学びました。また地域住民の健康課題を考える際に、多数の健康課題だけでなく、少数の人たちの健康課題と背景を捉えて考えられるようになりました。刑務所見学はなかなかできない経験です。国や地域が抱える健康課題について知ることができ、視野が広がっています。