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実習レポート

本研究科はグローバルで多様性のある
地域社会において、看護を探究するための
現地実習・演習を豊富に準備しています。

様々な現場でスキルを積み、
国や地域の健康課題について
気づきが得られる実習・演習を紹介します。

海外演習(ラオス保健科学大学)

国際看護を学ぶ上で必要な多様性への
理解が深まった
ラオスでの海外演習。

看護実践科学分野 2年塩冶 百恵さん千里金蘭大学 看護学部看護学科出身
実習の写真その1

本研究科の院生5名と先生方でラオスを訪れ、2週間の「国際助産演習」を行いました。演習の1週目は北部ルアンパバーンにあるラオ・フレンズ小児病院、2週目は首都ビエンチャンにあるラオス保健科学大学とマホソット病院で学びました。家庭訪問や病院でのケアなどを、現地の医療者やスタッフから、日本語や英語、ラオス語で指導を受けました。なかでも多くの気づきを得たのは、アクセスが困難な妊婦への健康教育や、現地看護学生と一緒に行った妊婦健診です。文化や慣習、伝統を守りながら日々を生きる対象者への看護において、自分の常識が相手の常識ではないことを深く理解できました。
最初は、日本とは違う環境や文化、生活習慣にとまどいを感じました。しかし、多様な文化に触れて生活するうちに、「何ごとも挑戦しよう」と積極的に行動する勇気を持つことができ、自身の成長を感じることができました。また、楽しみながら英語で会話ができ、プレゼンテーションにもチャレンジできました。海外演習では、私が住む日本での環境や文化、価値観など、すべてが“当たり前ではない”ことに改めて気づくことができました。本学の理念でもある多様性を尊重する国際看護を学ぶ上で、大切な視点を養う経験となりました。

実習の写真その2

日本看護協会施設見学

看護を取り巻く諸問題を
組織の力で
解決する可能性に手ごたえを得ました。

看護実践科学分野 2年伊東 真由美さん奈良県立医科大学 医学部看護学科出身
実習の写真その1

今回の日本看護協会の施設見学は、「看護管理特論」の一環として、日本看護協会の運営とマネジメントを理解することを目的に実施されました。「令和6年能登半島地震」の少し後に実施されたこともあり、地震発生後、日本看護協会では各都道府県看護協会や厚生労働省とどのように連携して災害支援ナースを派遣したか、具体的な経緯を教わりました。また日本の看護の質を向上させるための様々な取り組みや、次世代育成のための広報活動についても学びました。施設見学を通して、日本最大の職能団体である日本看護協会の一員であることを再認識すると共に感じたのは心強さです。個人の力では解決できない看護の課題も、組織であれば解決できる可能性を感じ、視野が広がりました。
私は以前より、看護師(保健師)として経験を積んだ後、必ず国際看護学を学ぼうと決めていました。国際看護学が学べる本学の大学院新設を知って、迷わず進学しました。今、日本に住む外国人労働者の公衆衛生についての実態調査をしています。保健師として、正確なデータ収集とそのデータを明確に提示する力を身につけて、政策として地域の取り組みに還元したいと考えています。

実習の写真その2

姫路赤十字病院

助産師として求められる現場の判断力や
精神力を身につけ、
自身の成長を実感。

助産実践科学分野 2年入江 晴奈さん大手前大学 国際看護学部出身
実習の写真その1

姫路赤十字病院での実習では、分娩介助だけでなく産褥期も関わり、新生児の状態を毎日観察し、産婦と共に成長を見届けました。分娩の経過や機序、根拠を学んでから実習に臨みましたが、実際はそれらを踏まえて母子の状況を統合的にアセスメントし、どのような経過を辿っているのか判断することがとても難しく感じました。一人として同じお産はないからこそ、状況を見極め、適切に対処し、母子にとって安心、安全、満足に出産できるように関わることが大切であると実感しました。また分娩に至るまでの過程で、潜在的なリスクがないか、危険な状態ではないかを助産師が見極め、アセスメントをくり返すことが必要だと学びました。

実習の写真その1

チームの一員として分娩介助に関わりましたが、最初は思うように動けず、落ち込むこともありました。そんな時、陣痛に耐えて頑張る産婦を前に、自らを奮い立たせたことも。実習を通して精神的に強くなれました。ケアの方向性を一緒に考え、触診や聴診も「まずはやってみよう」とサポートしてくださった指導担当の方のおかげで、成長できました。
実習では、病院だけでなく助産院やクリニックでの分娩や妊婦健診を経験できます。学生の頃から様々な医療体制の中で行われている助産ケアを学べるところは、本学の魅力だと思います。

加古川刑務所

貴重な見学を通して国や地域の
健康課題を学び、
視野が広がっています。

公衆衛生実践科学分野 2年溝神 裕美さん国立福山病院附属 看護学校出身
実習の写真その1

加古川刑務所の見学では、受刑者の生活環境と更生プログラムについて、男性・女性別に見学しました。受刑中の妊産婦への関わりや、産後に母児が一緒に生活できる部屋の見学、受刑者の健康管理についての説明を受けました。普段から受刑者と関わりが多い職員との情報共有や連携が、異常の早期発見と健康管理に大切であると学びました。また受刑者には、成育環境によりサポートが必要な時期に、保護者などからのサポートが受けられなかったケースが多いことも知りました。受刑者も同じ地域住民であると捉えられるようになったことは、実習の前と後で考え方が変化した点です。

実習の写真その1

公衆衛生看護においては、地域・行政・医療が、地域で取り残される人がいないように連携することが大切です。発達段階に応じた支援、妊娠期から孤立しない支援が犯罪を防ぐとともに、受刑者の社会復帰支援において重要であると学びました。また地域住民の健康課題を考える際に、多数の健康課題だけでなく、少数の人たちの健康課題と背景を捉えて考えられるようになりました。刑務所見学はなかなかできない経験です。国や地域が抱える健康課題について知ることができ、視野が広がっています。