この学部は、論理的、実践的知識を身につけ、的確に行動できる人材を育成すること、多様な価値観、伝統、生活様式を持つすべての人々に公平に公正なヘルスケアを提供できる人材を育成することをめざしています。そのために、言語や文化の違いにかかわらず、多様なすべての人が医療の現場や地域社会で健康な生活を享受できるように、英語を中心としたグローバルコミュニケーションができる人材を育成することを使命としています。
その看護学部が設置した本研究所の目的は大手前大学の使命である、「教育と研究を通じて地域と連携し、地域発展に尽くすとともに国際社会に貢献すること」を具現化することです。
より具体的な目標として
国民の健康に資するために専門的研究を行うこと
地域と連携し地域および国際社会に貢献すること
つまりは、Think globally, Act locallyを実践するプラットフォームとして活動しています。
大手前大学 国際看護研究所の
開設経緯と期待する役割
開設経緯と期待する役割
同研究所は、International Learning Collaborative(ILC)と、The Otemae University Implementation Center(OUIC)の国際的な看護研究活動を主な目的として、次世代育成に向けた活動を展開しています。
出会いは本学国際看護学部初代学部長である鈴井江三子教授のイギリス留学(英国テムズバレー大学大学院)時代。イギリスで助産師として初めて博士号を取得したDr. Lesley Page教授に師事していました。
その恩師から、現フリンダース大学副学長(元アデレード大学看護学部長)でILC創始者でもあるDr. Alison kitson教授を紹介され、その後Dr. Alison kitson教授は、国際的な活動や研究での交流を通じてILCの理念や社会活動への共通認識をもち、研究者としての資質や考え方に共感したDr.Alan Pearson教授を、鈴井教授に紹介しました。
これらのご縁を契機に、鈴井教授はILCメンバー、JBIメンバーとして活動していき、精力的に国際的共同研究の成果を報告してきました。
後進の育成にも力を注ぐ鈴井教授は、ILCの理念である「最新の研究が患者さんの利益に直結する」を日本でも浸透させ、また、世界的研究者とのコラボレーションの楽しさを後進に伝えるという想いを実現するために、国際看護学部長の就任と同時に、ILCとJBIを内包した国際看護研究所を開設し、初代研究所長である西村直子教授にその任を託しました。
現在世界の40か国に70以上のセンターがあり、本センターは2019年3月に日本で4番目の支部として活動を開始しました。対象者にとって、最善のヘルスケアを実施するための意思決定がエビデンスに基づいたものとなるように活動しています。
エビデンスを作り出すシステマティックレビューを行える研究者や臨床家を育成するセミナー(Comprehensive Systematic Review Training Program:CSRT)を年1回開催しています。また、臨床でエビデンスを実践するための6か月間コース(Evidence Implementation Training Program: EITP)を実施し、様々な医療機関等と協同しています。臨地においてエビデンスが定着し、実用可能な形に導く重要な役割を担うことをめざしています。
さらなるヘルスケアサービスの向上をはかるため、Fundamentals of Care(基本的なケアの枠組み)を提唱しています。
2008年以来、年に1回の国際学会を開催しており、イギリスをはじめ、デンマークなどのヨーロッパでも医療機関や大学機関が共同し、実際に医療現場でこの枠組みを活用し、ケアの質を向上する取り組みが年1回の学会で報告されています。
国際看護研究所では、この最新の知見を活用しながら、海外の研究者と協働し、看護基礎教育の向上に取り組んでいます。
大手前大学国際看護研究所研究集録は、国民の健康に資するために専門的研究を行うこと、地域と連携し地域および国際社会に貢献することという国際看護研究所の使命を果たすため、看護学の発展に寄与する教育・研究成果を広く社会に公表することをめざしています。
JBI・ILCのカンファレンスには
国際看護研究所所員が参加しています。
カンファレンスに参加した
所員のコメントをご紹介します。
戸田 登美子
私は、イギリスの大学でシステマティックレビューを、アデレードでその後のコースを、どちらもオンラインで学びました。つまり、JBIではどこにいようと誰もが学ぶことができ、意見や知見、苦労を共有し、世界を広げることができるのです。
看護の専門性を高め、最新のグローバルスタンダートのエビデンスで看護を変革できる、この新たな旅路にともに出てみませんか?
髙谷 知史
それらによって、FoCが看護の基本となる重要な概念であると再認識すると同時に、諸外国において多様な様相をもつことが分かりました。
FoCの観点から、改めて日本の看護教育を見つめなおすことで、私たち看護教育職に何ができるのか、看護学生は何を学ぶべきなのか、対象者へはどのような健康アウトカムが生じるのか、ILCの活動を通して新しい看護教育を探求していきたいと思います。