
わたしたちの「ゆさぶる ささる 胸を打つ」
客室乗務員という「なりたい自分」を見つけられた場所

2022年卒業 現代社会学部 観光ビジネス専攻
日系航空会社 客室乗務員
新たな夢を見つけるために大手前大学を選択
高校時代は獣医師をめざしていましたが、その夢を断念せざるを得なくなり、新たな道を模索しながら進学先を探していました。「せっかくなら自分が好きな観光について勉強したいけれど、まだその道に進むかはわからないから視野を広げたい」と考えていたところ、大手前大学の「クロスオーバー」制度を知り、入学を決めました。
先生方は、ご自身の経験に基づいた授業をされる方が多く「習うより慣れよということわざがあるように、大学で勉強してインプットしたことをアウトプットできるような活動をたくさんしなさい」とよく仰っていました。その言葉に感銘を受け、私もさまざまな活動に取り組みました。就職活動生を対象とした、神戸市の地域活性化につながる活動を通して、外国人に神戸の観光地を案内したこともありますし、ゲストハウスのスタッフやエステティシャンといった接客業のアルバイトにも挑戦しました。そこでの経験から、お客様に合わせてさまざまなサービスが提案できる客室乗務員の仕事を志すようになりました。

現在は客室乗務員に従事して3年目となり、大学の授業で得た知識や経験が現場で役立つことも多々あります。例えば、3年生のときにゼミのメンバーと大学の周辺情報をまとめた「夙川・苦楽園マップ」を作ったときのこと。自分たちの足で現地に行き、店の人と話をしたり商品を試してみたりと、実際に確かめることがどれほど有意義か、身をもって知ることができました。客室乗務員として各国を飛び回っている現在も、さまざまな国や地方のスポットを積極的に巡るようにしており、お客様におすすめの場所を聞かれたときも「自分が本当にいいと思えるもの」を伝えることができています。また、逆にお客様におすすめの場所や食べ物を教えてもらい、実際に行ってみて得た情報を社内の連絡網や自社SNSで拡散することも。大学で学んだ「自分で確かめる・掘り起こす」マインドが、今の働き方にもつながっていると感じます。
クロスオーバーの一環で心理学の授業も取っていました。特に「怒りをレベル別に分類する」という授業は非常に印象的でした。今でもこのときに得た知識をお客様の対応時に活用することもあります。このように、たまたま自分の専攻と異なる領域の知識が、人生の中で役立つ。そんな経験ができるのも、大手前大学ならではの魅力だと思います。
まるで「1対10」。先生方の温かい支援に胸を打たれた
大手前大学の先生方の、夢を全力で応援してくださる姿勢には、何度も心をゆさぶられ、胸を打たれました。大手前大学は「1on1リフレクション」という教育の軸にも力を入れており、教員が学生一人ひとりに向き合う姿勢を重視しています。学生が何か発信をした際には、否定することなく、必ず誰かが受け止めてくれるような学校でした。
私が3年生のころに、客室乗務員をめざしたいと担任の先生に打ち明けたときも、柔軟な発想で、成功へと導いていただいたことを覚えています。OB訪問の紹介や面接練習、エントリーシートの添削といった基本的なサポートはもちろんのこと、個人的な悩みにも真摯に向き合っていただきました。客室乗務員をめざすためのWスクールにかかる費用について相談したときは、大学の学費が援助される特待生制度について調べてくださいました。制度がなければ、夢は実現できなかったのではと思います。
また、その先生が他の教授にも「私が客室乗務員をめざしている」と伝えてくださり、さまざまな業界に精通した方から多角的なサポートをしていただけたことも大きかったです。時には、面識のない先生から、客室乗務員の採用に役立つ情報をいただいたこともあり、1対1どころか、まるで1対10で自分の夢を援助してもらえるような心強さがありました。大手前にはエアライン専門のコースがないため、今から考えると先生方もわざわざ調べて私に教えてくださったのでしょう。大学の友人は皆、ホテル業や旅行業、公務員など違う夢に向かって努力していましたが、先生方は相手に寄り添ったアドバイスをされていたように思います。

実際の面接では、学んできた地方活性化や、夙川・苦楽園のマップ作りについて深掘りされることが多く、面接官は大勢で一つのものを作るという経験に興味を持たれていた印象です。観光科目に加えて心理学を学んでいたことにも関心を示す方もおり、大手前大学の「クロスオーバー」そのものが面接の武器になると実感しました。
尊敬する恩師のような「ものさしを持たない人間」をめざして
大学のときに地域活性化について学んでいたこともあり、新卒では地方にある航空会社の国内線乗務員として就職しました。2年間従事した後に「地方を含む日本の良さを海外に広めたい、そして自身の仕事の幅を広げたい」という思いから、国際線も扱う日系航空会社に転職しました。
私の目標は客室業務の責任者である「チーフパーサー(先任客室乗務員)」になること。現在は、その一歩となるチーフパーサーの補佐資格の取得に向けて勉強しています。私は固定概念に囚われず「ものさしを持たない人間」になりたいと思っており、職場でも立場関係なく人を支えられる人間でありたいと考えています。そう思ったきっかけも、担任の先生が、いろいろな解決策を提示し、相手に手を差し伸べてくださる人だったからです。社会人として、人として、目標とする人です。
キャリアアップを果たし、意欲が高まっている一方で、お客様の気持ちに応えられず歯がゆい気持ちになることや、資格取得のために膨大な学びを続ける毎日に疲れを感じる日もあります。しかし、大学でさまざまな人にサポートいただいたからこそ、今この仕事ができているのだと思うと、自然とパワーがみなぎってきます。大学4年間を通して強く感じたのは「なれるではなくて、自分がなりたいものを見つけられる学校に進むべきだ」ということ。この大学だからこそ、夢を見つけることも、かなえることもできました。大手前大学での学びは、夢がある方や、これから夢を探そうとしている方の可能性を、きっと広げてくれると思います。

※内容はすべて取材時のものです。(2025年1月)