大手前大学

学長挨拶

本学の建学の精神は「STUDY FOR LIFE」(生涯にわたる、人生のための学び)です。これにあわせて1987年にCI(カレッジ・アイデンティティ)に基づいた手法で、校章「OTEMAE FLOWER」のロゴマークを制定しました。これはカトレアの花をモチーフにデザインされていて、5枚の花びら一枚一枚に、1)好奇心、2)知性、3)情熱、4)健康、5)真善美に対する憧れといった意味が込められています。この花びらに込められた5つの意味をもつ「人生」(LIFE)とは、次のようにイメージできるでしょう。すなわち「真善美に対し強い憧れを抱き、よい社会の実現に情熱を燃やす。そのために好奇心を持って知性を磨き、のびのびと健やかに成長していく人生」です。いわば、「生涯にわたってウェルビーイングを実現していく人生」です。

もう一つのキーワードである「学び」(STUDY)は、人生のウェルビーイングを実現するための生涯学習を意味します。学ぶとは自分で対象を見つけて、見たり、読んだり、調べたり、考えて、書いて、発信しながら自己を作り上げていくことです。学びとは生涯続く自己創造の営みなのです。

2030年をターゲットとする本学のビジョンは、「一人ひとりの人生のウェルビーイングを胸を打つ教育を通じて実現する中規模総合大学」です。本学において中規模大学であるとは、小規模単科大学の魅力であるアットホームな環境での教育指導の個別性と、大規模総合大学の魅力であるダイナミックな環境での学びと交流の多様性の両方を併せ持つことを意味しています。それを具現化するのが、本学が取り組んでいる「胸を打つ教育」です。

「胸を打つ教育」とは、Knowing(知識)、Doing(実践力)、Being(信念と志)の調和の取れた教育であり、学部の壁を越えて自由に授業科目を選択できる「クロスオーバー」や、キャンパス(教室)とフィールド(街)を往還する体験型学習の「クロスバウンダリー」、教職員が学生一人ひとりと向き合い対話する「1on1」を重視した教育です。さくら夙川キャンパスの4つの学部では、例えば経営学をメジャー(主専攻)とする学生が、学部の壁を越えて、情報・コンピュータや心理学などをクロスオーバーして学べます。あなたの好きなこと、ひいては問題意識を起点として、さまざまな分野を横断的に学び、得た知識を結合することでユニークなアイデアが生まれ、新たな解決策を見つけることができるでしょう。

また、常に身近な距離にいる教職員が、学生一人ひとりの声を聞き、学んだことや体験したことの意味の内省(リフレクション)を促すことにも取り組んでいきたいと考えています。「1on1」による対話を通じて、授業で学んだこと体験したことを振り返り、自分の人生にとっての経験の意味を考えます。これを4年繰り返せば自らの考え方、価値観、強み、目標を言語化することができます。さらには肯定的な自己概念をつくりあげていけると思います。あなたの内省(リフレクション)を促す主体は教職員に限りません。キャンパスライフを共にする同級生や先輩との出会いもあります。つながりは相手にとって意味のある関係にできてこそ深まっていきます。授業や課外活動の機会に自分自身のことを語ったり、相手に助言を求めたり、ささやかな手助けをしたりといった「小さな行動」を通して仲間をつくっていってください。

さくら夙川キャンパスと大阪大手前キャンパスは、それぞれ四季折々の美しい自然の姿をみせる夙川公園と大阪城公園に隣接しています。キャンパスで皆さんと会えることを楽しみにしております。

プロフィール

学長
平野光俊(HIRANO Mitsutoshi)
博士(経営学)

1957年12月24日 東京生まれ。
早稲田大学商学部卒業。
神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了。
神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。
神戸大学大学院教授、大阪商業大学教授を経て大手前大学副学長。
2022年4月より現職。神戸大学名誉教授。
経営行動科学学会会長、日本労務学会副会長、組織学会評議員などを歴任。

経営学のなかでも人的資源管理論、組織行動論を専攻し、実務家の「理屈だけでやれるもんじゃない」というその理屈を、学術のフォーマルな知見を用いて解明する研究を行っている。企業との共同研究の実績多数。労働政策審議会(労働条件政策分科会)委員などの活動を通して労働政策の立案にも関わってきた。

主要著作は『日本型人事管理―進化型の発生プロセスと機能性―』(中央経済社)。本書で労働関係図書優秀賞,日本労務学会学術賞,経営行動科学学会優秀研究賞を受賞。最近の著作として『人事管理―人と企業、ともに活きるために―』(共著)(有斐閣)、『SDGsの経営学』(分担執筆)(千倉書房)などがある。

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