わたしたちの「ゆさぶる ささる 胸を打つ」
挑戦を続けて自分を高め“世界と向き合う”看護師へ

福田 りおさん
Branch Health Clinic Atsugi 看護師
国際看護学部一期生として築いた、国境を越える学びの場
看護師になりたいという夢は中学生の頃から意識していました。手に職をつけたいこと、そして自立して生きていきたいという想いが、その理由です。
大学選びの際には、大手前大学のオープンキャンパスに参加しました。そこで先生がおっしゃられた「“へこたれない看護師”を育て、グローバル人材としての看護師を輩出したい」「日本語以外の言語がわかるだけでも世界は広がる」といった言葉に心を動かされました。高校時代から英語が好きだったこともあり、ここで学べば視野も広がるだろうと感じ、入学を決めました。
大学時代に特に印象に残っているのは、国際交流イベントの運営に携わったこと。国際看護学部の一期生としてゼロからのスタートでしたが、同級生や後輩、先生方のサポートを受けながら2回にわたって運営することができました。本学と協定を結んでいる韓国・台湾・タイなどの海外の看護大学生と交流する場を企画し、コロナ禍のためオンラインでの開催となりましたが、看護や医療をテーマに各大学から1名程度がプレゼンテーションを行い、実習の進め方などについても情報共有を行いました。たとえば韓国の学生による美容整形の実態に関する発表など、日本ではなかなか聞けない内容も多く、非常に刺激的でした。
初年度は先生から「こういうことをやってみたいんだけど、誰かやってみる?」と声をかけていただき、気軽に手を挙げました。2回目は「今年もぜひやりたい」と自ら希望して参加。先生と学生の考えやテーマが異なる場合には、なぜその内容を重視されているのかをヒアリングし、学生側としてどのように調整できるかを考えるなど、両者の間に立って調整や交渉を行ったことは大切な思い出です。
急性期医療から米軍基地へ転職、その挑戦を支えた大学での学び
卒業後は神奈川県内の急性期病院に就職し、2年間CCU(循環器に特化したユニット)で勤務しました。全国の病院を調べるなかで、日本でもトップクラスの手術件数を誇る病院であることに魅力を感じたのが志望理由です。実際に働いてみると非常に忙しく、業務をこなすための勉強に追われる日々でした。その一方で、「自分は本当に学びたいことに挑戦できているのだろうか」と疑問を感じ、転職を意識するようになりました。
新たな挑戦を考えたとき、看護師としての経験に加えて、何らかの“プラスα”の力を身につけたいという想いがありました。その背景には、国際看護学部での学びや先生方から受けた影響が大きかったと感じています。また、いつかアメリカで看護師として働きたいという夢もあり、そうしたなかで出会ったのが、現在勤務している厚木航空基地内の「Branch Health Clinic Atsugi」でした。
アメリカで働くとなると、語学力やビザの問題などさまざまな壁がありますが、ここでは英語を使って働きながら、生活は日本語で送ることができます。いわば“日本にあるアメリカ”のような環境であれば安心して挑戦できると考え、2025年に入職しました。
当クリニックはアメリカ軍が運営しており、横須賀をはじめとする国内の米軍基地やアジア圏の米軍基地にも医療施設があります。現役軍人やその家族、一部の退役軍人とその家族を対象にプライマリーケアを提供し、患者からのメッセージ対応や薬の処方調整など、デスクワークを中心とした業務を担っています。
多職種・多国籍の現場で磨かれた対話力
職場には看護師や医師、衛生兵などが在籍しており、同敷地内の歯科も含め多くのスタッフが働いています。産婦人科にも対応し、他の日本人看護師と協働して多職種・多国籍のチームで医療を提供するなかで、大学時代に多角的な視点から学んだ経験が今の自分を支えていると感じます。
看護師は“白衣の天使”と言われることもありますが、現実は決して生易しいものではありません。大学では、そうしたリアルを先生方が教えてくださいました。実習や国家試験、現場で役立つことを重視した授業に加え、臨地実習では検疫所へ行く機会もありました。同級生のなかには刑務所やNPO施設で実習を行った人もおり、病院勤務だけでは得られない貴重な経験ができたのも本学ならではだと感じています。
また、多様なバックグラウンドを持つ先生方から学べたことも大きな刺激でした。1年生から英語に触れる機会が多く、グループディスカッションなどを通して自分の意見を発信することの大切さを学びました。
その結果、患者対応だけでなく、同僚とのコミュニケーションにおいても、文化や考え方の違いに直面した際に必要以上に焦らなくなったと感じています。意見が異なるのは当たり前で、国籍や言語に関わらず、何らかの方法で意思を伝え合うことが大切だと考えられるようになりました。特に軍人と働く今の現場では、相手に合わせたコミュニケーションの工夫が求められますが、在学中に学んだリアルな事例や先生方の言葉が日々の支えになっています。
実務では、相手の勢いに圧倒されて話についていけない場面もあります。それでも、くじけずに何度も聞き返し、チームの一員であろうとする姿勢を大切にしてきました。また、英語という第二言語話者である自分のコミュニケーションが患者さんにとって不利益にならないよう、身体的にも精神的にも配慮することをつねに意識しています。看護師としての自分、そして一人の人間としての自分。その両面から物事を考えられるようになったと感じています。
「へこたれない看護師」として挑み続けるこれからのキャリア
振り返ると、本学で学んでいなければ、新卒でCCUという重症度の高い部署を希望することも、米軍基地で働く看護師に挑戦しようと思うこともなかったかもしれません。困難に直面しながらも自分が本当にやりたい看護を見つけようと思えた原動力は、大学で過ごした4年間にあったと感じています。
若さゆえに思い切って飛び込んだ部分もありますが、「大手前で学んできたから、きっと何とかなる」という感覚が心の軸となり、ここまで歩むことができました。
「何事にもまず挑戦してみる」という姿勢は、「へこたれない看護師」をめざす本学で培われたものです。現在の職場では看護師以外の職種の方も多く、それぞれが異なるスキルや価値観を持っています。教えること、教えてもらうこと、そして互いに共有することの大切さを実感するなかで、以前から関心のあった「教育」にも携わってみたいと考えるようになりました。将来的には自身の知識や技術を伝える立場としてチーム全体の技術力を高め、医療の質向上にも貢献していきたいです。
近い目標は、アメリカの看護師資格に挑戦すること、そしてICUなどのハイケアユニットで勤務することです。さらに、米軍基地や海外など、自分にとって必ずしも快適とは言えない環境で働く経験も積んでいきたいと考えています。これからも「少し難しいかもしれない」と感じるレベルの挑戦を続けながら自身の成長を実感していきたい。将来的には、ICUを有する他の米軍基地で働く可能性も視野に入れ、今後のキャリアを模索していきたいと思います。
※内容はすべて取材時のものです。(2026年3月)