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わたしたちの「ゆさぶる ささる 胸を打つ」

アニメ制作の夢を叶え、「楽しくて仕方ない」毎日へ

2025年卒業 建築&芸術学部 映像・アニメーション専攻
株式会社朱夏 アニメーター
山邉 滉人さん

チームでつくる“商業アニメ”の現場で感じた楽しさと厳しさ

私は現在、アニメーション制作会社に勤務し、“動画マン”として原画のトレースや中割りなどを担当しています。毎朝10時に出勤し作業に集中する日々は、とにかく楽しくて仕方ありません。
大学時代にもアニメ制作をしていましたが、商業作品として大人数で制作する現場はまったく別のものだと感じました。想像以上に分業が細かく、こだわらなければならない点や、これまで知らなかった技術や工程も多く、日々新しい発見の連続です。

印象に残っているのは、初めて関わった作品の放送を見たときのこと。研修を終えて参加したテレビアニメ『違国日記』のエンドロールに自分の名前が載っているのを見た瞬間、「本当にこの世界に関われているんだ」と実感しました。これまで視聴者として見てきたアニメに、自分が携わっている。その事実がとてもうれしく、作中の背景ポスターの制作に関われたことも強く印象に残っています。

一方で、仕事の厳しさも日々感じています。制作量の目標や細かな修正指示など乗り越えるべき課題は多く、まだ安定して成果を出せているとは言えません。作業スピードを上げるためには無駄を減らすことが重要。例えば鉛筆作業では消しゴムの回数を減らすことも意識しています。迷う時間を短くし、手を止めずに描き続ける。その積み重ねが仕事の質とスピードにつながっていると感じています。
最近では修正指示の意図を理解しながら対応できる場面も増えてきました。そうした小さな変化のなかに自分の成長を実感しています。

やりがいを強く感じるのは、キャラクターの動きが大きいカットです。身体の動きや振り向きなど、変化の大きいシーンは「アニメーションをつくっている」という実感があり、特に楽しい部分です。わずかな違いで印象が大きく変わる難しさもありますが、その分やりがいも大きいと感じています。
また、アニメ制作は決して一人では成り立ちません。チームでつくるからこそ完成できる仕事です。自分の描いた線が最終的な画として使われる責任を感じつつ、作品の一部として関われることに大きな喜びを感じています。

そして将来の目標は「アクションディレクター」になること。戦闘シーンやダイナミックな動きに特化し、作品の迫力を支える役割に魅力を感じています。いずれは作品全体をつくる立場にも挑戦していきたいと考えています。

基礎から表現を広げ、チームでつくる力を養った大学での学び

大手前大学を選んだのは、アニメや映像を基礎から学べる環境に魅力を感じたから。高校までは芸術系ではない進路を考えていましたが、「やっぱり絵に関わりたい」という想いが強くなり、進学を決めました。実技試験にとらわれず、これまで芸術を専門的に学んでいなくても基礎から応用まで段階的に学べる点にも惹かれました。
入学後はアニメーション制作を中心に学びながら、クロスオーバー制度を利用して絵画の授業も履修しました。大きなキャンバスに描く油絵など、普段なかなかできない経験はとても新鮮で、興味を持った分野を積極的に学んでいきました。

3年生のゼミでは、地域社会連携プロジェクトとして企業からの依頼を受け、チームで映像制作に取り組みました。私たちの学年は信用金庫のロビーで流れる映像を制作。それまで個人制作が中心だった私にとって、「クライアントの要望に応える制作」は初めての経験でした。
メンバーそれぞれの得意分野を活かしながら役割分担を行い、方向性をすり合わせていく過程は決して簡単ではありませんでしたが、非常に貴重な経験となりました。チームのなかでは意見をまとめる役割を担うことも多く、そうした経験が今の仕事にもつながっていると感じています。

大手前大学×尼崎信用金庫「阪神美忘録」

また、アニメーション作家・和田淳先生との出会いも大きな転機でした。制作の進め方や作品との向き合い方についてアドバイスをいただいたことはもちろん、「アニメーションは楽しいものだ」という感覚を教えていただいたことが強く印象に残っています。

卒業制作で見つけた自分の表現、そして仲間や先生に支えられた時間

大学生活でもっとも大きな経験となったのが卒業制作です。約1年をかけてオリジナルのアニメーション作品を制作しました。ほぼ毎日大学に通い、朝から夜まで制作を続け、帰宅後も作業を重ねる日々でした。
友人と同じ空間で、それぞれが自分の作品に向き合いながら制作した時間は、かけがえのないものとして心に残っています。

当初はストーリー性のある作品を構想していましたが、制作期間を踏まえてダイジェスト形式に変更。「かっこいい」と思うシーンを凝縮し、自分の感覚を前面に出した作品に仕上げました。
制作は想像以上に大変でしたが、少しずつ形になっていく過程には大きな喜びがあり、この経験を通して「これからもアニメーションに関わっていきたい」と強く思うようになりました。
今見返すと改善点は多くありますが、その時点での最大限を出し切った作品であり、自分にとっての原点ともいえる大切な存在です。

【大手前大学チャンネル】エノコロ 山邉滉人・吉峰輝七汰

大学生活を通して身についた力のひとつが「伝える力」です。発表やプレゼンの機会が多く、大人数の前で話す経験を積むことができました。大学は個人で学ぶ場というイメージを持っていましたが、実際にはグループワークや発表の機会も多く、よい意味でギャップを感じました。
この経験は現在の仕事にも活きています。アニメ制作は黙々と作業する印象がありますが、実際には周囲とのコミュニケーションが欠かせません。就職活動においても、そうした力が評価されていたと後から知りました。
また、合評で他の学生の作品に触れることで、自分にはなかった視点や表現に出会えたことも大きな財産です。そうした経験が、自分自身の表現の幅を広げてくれたと感じています。

“好き”だから続けられる仕事。その想いを力にこれからも

私はまだ経験も浅く、実力不足を感じることもありますが、「好きなことを仕事にできている」という実感があります。仕事に行くことが苦ではなく、むしろ日々のモチベーションになっています。
もちろん大変なこともありますが、それも含めてこの仕事に向き合えていることに意味があると感じています。これからも経験を積み重ねながら自分の理想とする表現に近づいていきたいです。

そして、自分がこれまでアニメから受け取ってきたワクワクや感動を、今度は誰かに届けられる存在になりたい。少しでも多くの人に届く作品に関わり、自分の名前を覚えてもらえるよう、これからも努力を重ねていきたいと思います。

※内容はすべて取材時のものです。(2026年6月)