大手前大学

教員紹介

2023年度 講義担当教員

  1. ※印は2023年度 博士前期課程「比較文化特別研究(研究指導)」担当教員。
  2. 2024年度博士前期課程・博士後期課程「比較文化特別研究(研究指導)」担当教員については、別途、お問い合わせ下さい。

教授 于 亜(う あ)

専門分野は文化地理学です。文献史料と現地調査を用いながら、地域における食をめぐる文化的・社会的な事象や現象を研究しています。具体的には、黄河流域の粉食と関わりの深い事象を対象として研究を進めています。現在は「食の景観」の構想のもと、食に関わる民具の在り方を考えています。主な研究業績としては、「中国食文化研究の展開-餃子食研究の序説-」(兵庫地理第47号、2002)、「中国山東省における餃子食の意味と地域的特質」(人文地理学第57巻第4号、2005)、「漢代画像石にみる古代中国の食文化-山東省を事例に-」(兵庫地理第55号、2010)、「中国の餃子」(vesta=食文化誌ヴェスタ(117)、2020)などがあります。

教授 植松 茂男(うえまつ しげお)

専門は外国語の習得プロセスとそれに伴うアイデンティティーの変容です。帰国子女のバイリンガリズム研究から始まり、特に習得開始年齢が大きなファクターであることを確認しました。北米移民の英語習得についても、ミネソタ州のモン族を対象に国際共同研究(カーネギー・メロン財団)で、年少者の言語的・文化的適応の優位を確認しました。こうした知見から、諸外国の早期英語教育政策についてもフィールド調査を実施してきました。最近ではEU の複言語政策、トランス・ランゲジング教授法の研究を主に進めています。主な著作は『英語学習と臨界期』(松柏社、2006)、『教育と医学』(共著 慶応大学出版会、2011)、『英語学体系』(共著 大修館書店、2011)、Long-Term Effectiveness of Learning English(Springer, 2015),『国際的に見た外国語教員の養成』(共著 東信堂、2015), The Front Line of Applied Linguistics(J.W. Kinseido, 2017) 等があります。

教授 恩塚 千代(おんづか ちよ)

専門分野は日本語教育です。人間の「ことば」には、耳で聞く「音声」と脳で聞く「音韻」があります。言葉の意味を理解するための音韻認識を脳内辞書に照らし合わせて、文字として表記するルールは何か、日本語学習者はどのようにしてそれを習得していくのか、そんなことを研究しています。また、日本語教育に「役割語」を取り入れる必要性についても考えています。最近はもっぱら日本語学習者のための日日辞典の開発に取り組んでいます。
主な著書には、『日本語の音韻認識と表記のメカニズム-韓国語母語話者へのカタカナ語教育の観点から-』(人文社、2011年)、『役割語研究の展開』第4章「韓国の教科書における役割語の役割-「生きた日本語」を教えるバーチャルリアリティー-」(分担執筆、くろしお出版、2011年) 等があります。

教授 尾﨑 耕司(おざき こうじ)

日本近代史を専門としています。特に幕末維新期以降、19世紀における医療や公衆衛生、救貧といった人々の生活にかかわる問題から近代における日本社会のありかたを分析しています。
近年発表した研究業績には、「長与専斎:衛生における近代性の先駆か前近代の遺産の継承者か」(原文は英文)(大手前大学論集、17号、2017年3月)、「明治『医制』再考」(大手前大学論集、16号、2016年3月)、「明治維新期西洋医学導入過程の再検討」(大手前大学論集、13号、2013年3月)、などがあります。

教授 貝柄 徹(かいがら とおる)

地理学(特に自然地理学)が専門です。琉球列島を中心にアジア、インド洋、太平洋海域のサンゴや貝化石を指標に絶対年代の測定を実施してきました。当初は第四紀の海水準変動や地殻変動などの古環境分析や地史を編むことがテーマでしたが、近年はサンゴ礁域の海岸環境のみならず、都市域の環境、産業遺産など人文地理的な分野にも興味を有しています。主な著書に『伊丹 鴻池の歴史』(共著、大手前女子大学史学研究所、1999)、『宇宙 地球 地震と火山』(共著、古今書院、2006)、『現代社会を生きるキーワード2』(共著、大阪公立大学共同出版会、2015)、『神戸製鋼所神戸製鉄所第3高炉調査報告書』(共著、史学研究所、2019)など。

教授 柏木 隆雄(かしわぎ たかお)

フランス文学では 19 世紀小説、とりわけバルザックの小説構造について勉強しています。また日本文学に関しても若い時から興味をもっていましたので、日本の近代文学がどのようにフランス文学の影響を受けてきたかについても多少の見解をこれまで発表してきました。それらの成果としては『謎とき「人間喜劇」』(ちくま学芸文庫、2000)、『交差するまなざし─日本近代文学とフランス─』(朝日出版社、2008)、『こう読めば面白い!フランス流日本文学』(大阪大学出版会、2017)などがあります。そのほかに出版事情にも関心があり、とりわけ19世紀フランスのロマン主義時代からの雑誌、初版本などを多少蒐集したり、明治初期からの出版物も気をつけて集めたりもしています。

教授 谷村 要(たにむら かなめ)

専門は、情報社会学、サブカルチャー(ポップカルチャー)研究です。ネットユーザーによるUGC(UserGenerated Contents)制作の過程や、仮想空間(WEB空間)のコミュニケーションが現実空間にどう関与していくかに関心をもっています。前者に関する具体的な研究対象としては「踊ってみた」動画パフォーマー、後者の研究対象としてアニメの舞台となった場所を作品のファンが巡る「アニメ聖地巡礼」現象が挙げられます。これらの研究の延長線上として、マンガ・アニメ・ゲームなどを活用した地域活性化事業やオタク文化の研究も近年は進めています。「聖地巡礼」に関する主な調査地としては、兵庫県西宮市、埼玉県久喜市鷲宮、豊郷小学校旧滋賀県犬上郡豊郷町、静岡県沼津市が挙げられます。主な著書に『ポケモンGOからの問い』(共著、新曜社、2018年)、『地方創生―これから何をなすべきか―』(共著、創成社、2017年)、『現代社会を生きるキーワード2』(共著、大阪公立大学共同出版会、2015年)、『無印都市の社会学 どこにでもある日常空間をフィールドワークする』(共著、法律文化社、2013年)など。

教授 田中 紀子(たなか のりこ)

20世紀以降のアメリカの小説を専門としています。人間関係、特に親子間の感情のもつれ、孤独との葛藤、和解への希求を探っています。それらの感情における普遍性と、時代や民族および地域における特殊性を探ることに関心を抱いています。また、映画化された作品は原作の一つの解釈であることから、省略、変更、追加された箇所から原作を振り返ることにも意味を見出しています。
主な研究業績としては、『酔いどれアメリカ文学-アルコール文学文化論』(共著、英宝社)、「『われらの時代』に見る父親と息子」(神戸常盤短期大学論集)、「描かれた家族、描かれなかった家族-『武器よさらば』における反発と希求」(大手前大学論集)、「『河を渡って木立の中へ』における祖国と家族」(大手前大学論集)、「「母」を呼ぶ声-The Bell Jarにおける挫折と治癒」(大手前大学論集)、「『ハツカネズミと人間』における孤独-1992年版映画との比較を通して」(大手前大学論集)、「Smokeにおける母親と母性」(大手前大学論集)などがあります。

教授 チャン キグォン(ちゃん きぐぉん)

伝統芸能や風刺劇を研究対象とし、朝鮮半島の地域研究を行っています。伝統仮面劇には、封建時代における階層間の葛藤構造が愉快に描かれ、支配層に対する庶民の批判精神が痛快な風刺を通して表出されています。その風刺の様相を多様な観点から分析しつつ、その背景に潜む民衆意識、新旧交代の儀式性、グロテスク・リアリズムの世界を探求しています。また伝統芸能に盛り込まれている風刺と批判精神は、中近世の伝承文化としてだけでなく、現代の韓国社会においても社会風刺劇として継承され、韓国の現代政治における民主化運動に多大な影響を及ぼしてきました。最近は、その社会風刺劇の特性と役割、民主化運動の軌跡をテーマに現代韓国の社会研究にも関心を持っています。
大学院の授業においては、ことばから社会を考える視点、また言語と文化の接点に着目しながら、「異文化コミュニケーション」についてケーススタディ形式で論じていきます。

教授 鳥越 皓之(とりごえ ひろゆき)

民俗学と社会学のふたつを専攻しています。民俗学は民衆の伝統的な暮らしを研究するといえばよいでしょうか。民間信仰、口承文芸、生業、社会伝承、人生儀礼、年中行事などが研究対象になります。最近は「風の神」について調べていました。社会学のうち、私は環境社会学や地域社会学の研究を主にしてきました。「まちづくり」やNPO、コミュニティ、風景・観光あたりがキーワードでしょうか。調査地としては、外国では、グアテマラ、モンゴル、中国、韓国、イギリスなど。著書としてはつぎのようなものがあります。『琉球国の滅亡とハワイ移民』(吉川弘文館)、『水と日本人』(岩波書店)、『地域自治会の研究』(ミネルヴァ書房)、『柳田民俗学のフィロソフィー』(東京大学出版会)、『花をたずねて吉野山』(集英社新書)、『サザエさん的コミュニティの法則』(NHK新書)、また編著につぎのものがあります。『風景とローカル・ガバナンス』(早稲田大学出版会)、『環境の日本史』5(吉川弘文館)、『試みとしての環境民俗学』(雄山閣)。

教授 中島 由佳(なかじま ゆか)

発達心理学、教育心理学を専門としています。ストレス対処、進路における目標達成、ひとと動物の絆の心理学が主な研究分野です。近年は特に、「小学校での動物飼育が子どもの心の発達に与える影響」に焦点づけて研究しています。主な著書として「ひとと動物の絆の心理学」(ナカニシヤ出版)、「大学受験および就職活動におけるコントロール方略の働き―目標遂行に向けてのストレスへの対処として―」(風間書房)があります。また共著として「キャリア・プランニング―大学初年次からのキャリアワークブック」(ナカニシヤ出版)、「よくわかる心理学」(ミネルヴァ書房)などがあります。

教授 丹羽 博之(にわ ひろゆき)

和漢比較文学。I 平安時代の和歌を中心とした和文作品と中国文学の比較。II 平安時代を中心に日本漢文学と中国文学の比較。III 明治の唱歌・軍歌の歌詞に見られる漢文学の影響、及び西欧文化と日本中国を中心とした東洋文化の融合の研究。IV 白楽天の人生と文学の研究。等を主な研究対象としている。
主な著書に『田氏家集注』(共著:小島憲之監修)(和泉書院)、『新撰万葉集注釈』(共著)(和泉書院)、『一海知義の漢詩道場』(共著)(岩波書店)など。

教授 平川 大作(ひらかわ だいさく)

大阪大学文学部で山崎正和先生に師事して演劇学を学びました。
専門は英米の現代演劇で、海外戯曲の翻訳という立場で舞台公演の現場に関わってきました。主な作品に『コペンハーゲン』、『扉をあけて、ミスター・グリーン』など。2010年に『モジョ ミキボー』で、第三回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。芝居の稽古場では、さまざまな経験を通して演劇づくりの実際を学びました。それを活かすつもりで、大手前大学では、建築&芸術学部で映画・演劇ゼミを担当し、毎年オリジナルの台本での卒業制作を指導しています(毎年12月です。ぜひご観劇ください)。日本演劇学会、美学会、日本映像学会所属。論文として『ふたり芝居の詩学 序説』など。
少しでも興味深い授業になるように努めたいと考えています。よろしくお願いします。

教授 森下 章司(もりした しょうじ)

専門は日本考古学。とくに日本の古墳時代を研究対象とし、関係する時代の中国や朝鮮半島の遺跡・遺物についても深い関心を抱いている。遺物の中ではとくに銅鏡に関心をもって検討を進めている。調査・研究活動では、遺跡の発掘調査や出土遺物の整理・分析など実践的な活動を重視する。入手・閲覧しやすい出版物では、『シンポジウム 三角縁神獣鏡』(共著 学生社 2003年)、『古墳の古代史』(筑摩書房 2016年)がある。

教授 山口 正晃(やまぐち まさてる)

専門は東洋史。特に、中国中世(魏晋南北朝から隋唐時代)の軍事制度を軸とする制度史および、敦煌写本の研究を中心として研究を進めている。前者は、長期に亙って分裂状態の継続した魏晋南北朝から、秦漢以来の統一帝国である隋唐にかけて、この「分裂」と「統一」という事象の要因について軍事制度を切り口として検討を加えている。後者は、今からおよそ100年前に敦煌・莫高窟から発見された5 ~ 10世紀の写本、すなわち当時そこで生活していた人々が日常生活で使用していた様々な文書類―後世に史料として残すことを想定していない「生」の史料―を題材として、当時の社会の実態について考察している。最近はまた、現代において敦煌写本が発見された後、世界各地に分散していったその流伝過程にも興味を持っている。

准教授 石野 尚(いしの なお)

専門は生成文法に基づく統語論と言語習得理論研究です。主に、日本語と英語の統語構造(文の組み立てや文が生成されるときの規則)を対照し、第二言語の学習途上に現れる中間的な言語能力がどのような体系になっているかを調べています。誤りや困難な現象にはその背景に理由となる仕組みがあります。そのためアプローチとしては、誤りを含んだ言語体系を経験的データで実証することと、習得対象言語と母語の統語の差異から理論的に予測できると示すことを目指しています。著書に Feature Transfer and Feature Learning in Universal Grammar(関西学院大学出版会、2019年)があります。

准教授 鈴木基伸(すずき もとのぶ)

専門は日本語学ですが、関連分野の言語学、日本語教育学の方もカバーしています。研究対象は主に現代日本語文法であり、これまでは、移動の方向性や出現や消失といった変化を表す「~してくる/~していく」や、程度の超過性を表す「~しすぎる」、動作の難易を表す「~しやすい/~しにくい」といった文法形式の意味・機能研究を行ってきました。
現在では、これまでの研究成果を、日本語教育の現場にも応用できないかと考え、新たな教授法や教材の開発に取り組んでいます。

准教授 辻󠄀村 尚子(つじむら なおこ)

専門は、日本近世文学、特に俳文学。芭蕉の提唱した蕉風俳諧について、其角を中心とする門人の動向や作品に注目して研究しています。近年は、俳人書簡にも興味を抱き、調査・研究を進めています。筆跡や料紙など、活字化されたテキストにはない、「モノ」そのものから得られる情報を手がかりに、俳諧享受のありさまを明らかにしたいと考えています。主な研究業績に「其角『新山家』の方法」(「近世文藝」第83号、2006年1月)、「晩年の杉風-柿衞文庫蔵 杉風筆大嶋蓑里宛書簡の紹介と考察」(「連歌俳諧研究」第131号、2016年9月)、「蕪村書簡 百楼宛・樵風宛」(「俳文学報」第54 号、2020年10月)などがあります。

講師 石畑 匡基(こくはた まさき)

専門は日本史。特に、中近世移行期の政治史を中心に研究を進めています。
これまでの研究では、戦国大名毛利氏や土佐藩など、主に中四国地域の大名を対象として取り組んできました。
これまでの研究をさらに発展させるとともに、大坂城や伏見城などの関西地域を拠点とした豊臣政権に関する研究にも、これからは取り組みたいと考えています。
また、博物館で学芸員として働いていた経験を活かした社会貢献などにも注力したいと考えています。
主な論文は「秀吉死後の政局と大谷吉継の豊臣政権復帰」(『日本歴史』772号、2012年)、「戦国期における毛利氏の出雲支配と毛利元康」(『日本歴史』857号、2019年)、「近世初期における土佐の鷹場」(『海南史学』59号、2021年)など。

兼任講師 岡 佳子(おか よしこ)

専門は日本文化史、陶磁器史。本阿弥光悦、野々村仁清、尾形乾山などの近世の京焼陶工と陶業について文化工芸史から主に研究しています。これまで20 余年にわたり、京都の尼門跡寺院に入り、古文書や美術工芸品の調査を行い、女性と仏教の問題も考えてきました。美術品などのモノを対象にしながら、そこに関わる人の文化史的な営みを考えています。主な著書は、『寛永文化のネットワークー隔蓂記の世界』(共編著、思文閣出版、1998)『国宝仁清の謎』(角川書店、2003)『近世京焼の研究』(思文閣出版、2011)『「千種」物語―二つの海を渡った唐物茶壺 』(共編著、思文閣出版、2016)

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