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【国際看護研究所】オーストラリア フリンダース大学の先生方に講演いただきました

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戸田先生2
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2月19日(月)、International Learning Collaborative (ILC)*が提唱しているFundamentals of Care (FoC:基本的なケアの枠組み) の枠組みや、同枠組みを適用した研究について、フリンダース大学の Tiffany Conroy教授、Karleen Thornton准教授、Rebecca Feo先生、及びKathy Mott先生に講演していただきました。
大学院生を対象に、オンラインで実施いたしました。
FoCは、人を全人的に捉え、その人がもつ複雑なニードをくみ取って優先順位を考慮し、多職種と協働して個別ケアを提供しようというケア枠組みです。現在、疾病の複雑化、医療の高度化が進み、看護職も医療業務に追われて身体的なケアは介護職に委譲されることがあります。講義では、このような今こそ、生物的・社会的・精神的な側面、他者との関係やフォーマル・インフォーマルな資源なども含めて人を全人的に理解することの重要性が説かれました。また、全人的な理解に基づいて、その人のもつ複雑なニードを捉え、個別性のあるケアを提供することは、その人の安寧、疾病の予防や回復、ひいては平安な死を迎えるために不可欠です。講義ではFoCの枠組みに則ってケアを行った結果、高齢者のせん妄の発症割合が47%減少したとの報告も聞かれました。
FoCは看護師だけでは行えません。FoCを展開するためには、看護師には多職種と連携する力、さらに第一線でリーダーシップをとって判断し、一方で教育するという役割が求められます。よって、ILCはFoCリーダーシップ研修を開催したり、毎年学会を開催したりして、FoCにおける看護師のリーダーシップ力を高め、世界中の研究者と知見を共有しています。なお、2024年の年次大会は、6月7-8日にオックスフォードで開催されます。
講義の後は、大学院生や教員から高齢者のせん妄予防に対するケアの詳細について英語による質疑応答を行いました。回答では、エビデンスに基づいてFoCの焦点を栄養や移動に特定し、認知面に特定したプロセスについて説明があり、さらに限られた資源の中でアイデアを駆使して、移動と認知面の両方に介入したケアの実際について詳しくご説明いただきました。

* ILC(International Learning Collaborative)とはフリンダース大学副学長・教授のAlison Kitson博士が始動した国際共同研究であり、“基本的な看護”とは何かを問い看護理論の枠組みを再構築する研究組織です。オーストラリア・アデレードとイギリス・オックスフォードに活動拠点を置き、全ての看護の対象者に対して、対象者や家族が求める看護ケアの理論枠組みを構築するために、研究者と臨床家が共同研究し、探求する研究活動を行っています。そして、より良いヘルスケアサービスの向上をはかるため、Fundamentals of Care (FoC:基本的なケアの枠組み)を提唱し、その実践結果を報告しています。なお、ILCには、日本で唯一、本学の国際看護研究所が参加しています。

(配信元:国際看護学研究科)

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